昨年、事実上の廃刊により94年の歴史に幕を下ろしたアサヒカメラですが、誌上で人気の企画だった「カメラ診断室」シリーズの合本が入荷しました。
入荷分は連載初期の1〜4集で、今ではクラシックカメラやオールドレンズに類するカメラやレンズが新製品として紹介されています。
昭和32年より連載の始まったこのシリーズは、新製品のカメラやレンズをアサヒカメラの「ドクター」達が徹底的に調査研究するという企画でした。歴代のドクターには木村伊兵衛はじめ貫井提吉、中川一夫といった、凄いけれど興味のない人にはさっぱり「誰?」な顔ぶれが居並んでいました。
時に製品をバラバラに分解しながら「ここは良い、ここはこう改めるべきだ」「こんな不具合があった」「規格値に対して実測値はこうだった。素晴らしい/さっぱりダメだ」といった具合に進行する内容はそれだけでも楽しめますが、たまにドクターの指摘が見当外れだったりすると、メーカー側が回答でやんわりとやり返したりするところなども面白いです。
戦前のコンタックスをコピーしたソ連のキエフは、
酷評されています
見出し以外はまったくフォローになっていない総評
縦走りの鎧戸シャッターの機構も図解されています
マニアックな世界をお洒落にフワッと案内してくれる昨今のムックのような専門書風雑誌とは性格の異なる当時の専門誌です。はじめから突っ込んだ内容で遠慮なしに畳み掛けて来ますので、ムック程度ではもう薬が効かなくなってしまったという方や、内容の焼き直しやちょうちん記事ばかりの今の専門誌に辟易されている方へおすすめします。連載初期のそんたく無しのシビアな評価は読み応えがあります。
なお、本品は新品書籍ではなく古書です。
・カメラドクターシリーズ「話題のカメラ診断室」アサヒカメラ連載
朝日ソノラマ刊 1〜4集セット*・・・・・4,000円(税込み)
*1集のみ復刻版。ほかオリジナル版