東独エルンスト・ルートヴィヒの標準レンズです。
低い解像度と開放域でのにじみ、残存収差による渦を巻くようなボケや皆無に等しい逆光耐性など、鮮鋭に歪みなく写ってなめらかにボケるという高性能レンズの条件のいずれからも逸れたレンズです。
この描写を面白さと解される方向きの一本です。
整備済み。
・E.ルートヴィヒ メリター50mm/f2.9(M42マウント)・・・・・15,000円(税込み)
・
19世紀の終わり頃に発明されたトリプレットは、単レンズ3枚のシンプルな構成で高性能を得られる優れた設計ですが、元々の設計はf6前後であり大口径化には不向きです。メリターはトリプレットの則から外れた明るさで、光学性能を次点にまわしてまで大口径化を優先したかなり無理のある設計だったと見るべきでしょう。トリプレットの“迷玉”としては、同じ東独のマイヤー・ドミプラン50mm/f2.8と双璧だと思います。
また、上記のような点に加えてメリターは分解・組立てした際に3群部の調芯が必要となる構造であるため、過去にメーカー以外での分解履歴のある個体は、更に混迷の度を深めた描写となっている可能性が高いです。