ZOMZ、Valdai製以前の、自国製の光学ガラスを使用して製造されるようになった初年1955年から翌56年に渡って造られたKMZ製のジュピター3です。
ゾナーのクローンとして知られているジュピターレンズですが、実際には設計面でも描写においても単にツァイスレンズのコピー品と呼ぶ以上の個性をそなえたレンズと言えます。
1947年試作
1948年初期量産型
使用例
光学系に重年相応の傷あり。
分解整備済み。
本品は整備時に連動カムの精度を追い込んで調整してありますので、問題なく距離計連動します。
純正リアキャップ付属。
まだそれほど妙味の認知されていない純ソ連製の初期の製品ですが、撮ってみると非常に面白いです。
・KMZ ジュピター3 5cm/f1.5・・・・・33,000円(税込み)
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ツァイス製品と初期のソ連製品に見られる距離計連動精度の問題は、好事家にとっても整備する側から見ても頭の痛い問題です。これらは後年のソ連製品で見られる組み立て品質に起因する同様の問題とは要因が異なっており、主に設計によって引き起こされているように思います。
ツァイス製や初期のソ連製のLマウントレンズを整備すると、そのほとんどに複数のレギュレーションで分解組み立てを繰り返した痕が見受けられます。
これは、今日に到るまで複数回の分解整備を受けてきた痕跡ですが、私がこれまでに整備した中においてはその全てが、距離計連動精度と実ピントの兼ね合いを取ろうとする組み位置で逡巡したのちに、連動精度を犠牲にして実ピントを合わせるレギュレーションで組むという形へ収束していました。
これらのレンズの距離計連動精度はどの個体でも、距離環と実ピントが無限に合った状態で距離計の二重像がわずかに行き足りない(合致し切らない)状態となっていました。そのズレ量は今のところ全て同じで、少なくとも今まで私が整備してきたものに限って言えば、ツァイス製と初期のソ連製のLマウントレンズは、距離計連動カムが本来あるべき丈よりもわずかだけ寸足らずに造られている事になります。それが、誤差として許容できる範囲からほんの少し逸れた微差であるために、整備する側にとってはかえって混乱する要因となってしまうようです。
今回の個体では、上記のような状況に対して、本来の仕様としてあるべき組み位置を守ったうえで、純正の状態(連動精度にズレのある状態)に戻せるよう不可逆的な加工・改変を避けて、という2つの条件をクリアしつつ連動精度を出しました。



