2024年10月31日木曜日

営業時間変更のお知らせ

 誠に勝手ながら、都合により11月1日(金)より当面の間、営業時間を10:00〜17:00へ変更いたします。あしからずご了承ください。

2024年9月6日金曜日

旧エルマー雑考

 Lマウント仕様に純正改装された旧エルマー(1926〜28年にかけて製造された、ゼントリンガー工場のガラスを採用していたごく初期のエルマー)で、これまで当店で扱って来たもので記録してきた範疇においては、1本の例外を除くその他すべての個体に共通の番手のナンバーが刻字されていた。

このナンバーは当初はシリアルだと思っていたが、バレルの仕様とナンバーが年代的に合致しないケースが複数あり、また、バレルに併記されている4桁ないし5桁のナンバー(こちらが実際のシリアルナンバー)が年代的に仕様と合致したため、前者がシリアルではないと判った(先述の例外品については、いずれのナンバーも刻字されていなかった)。

こうした事はある程度の数の旧エルマーを開けて見て来た中で分かった事なので、レンズバレルの刻字を記録し続けてきた事は正解だった。

では、シリアルとは異なるこのナンバーは一体何なのか。現時点ではあくまで推測だが、A型から交換式レンズへと改装されたエルマーに対して割り振られた番号ではないかと思う。そう考えると、バレルに併記されている二つのナンバーの一方、つまりシリアルに線が引かれている理由も合理的に説明できる。

2024年8月26日月曜日

Topcor-S 5cm/f2 白鏡筒

 

描写の個性と光学性能とが両立した描写。個人的には古今のダブルガウス型の中でも傑出した一本だと思います。

前玉表面に小傷、後玉コーティング面にカビ清掃痕あり。

整備済み。

・東京光学 トプコールS  5cm f2 (Lマウント)・・・・・26,000円(税込み)

トプコールSは「縦深描写」と呼ばれる写りの立体感を重視した設計がなされています。そのため、このレンズの描写はありありとした実在感を伴いますが、デフォルメされた立体表現のレンズとは異なり、より自然な分だけ一見したところのインパクトは大きくはありません。その一方で、撮るほどに良さを感じさせ、飽きのこないところにレンズとしての完成度の高さを感じます。

まったく根拠の無いあくまで私感ですが、トプコールSの開放付近の描写を観ると、マックス・べレクが設計し、自ら失敗だったと評したズマール5cm/f2で彼が目指した描写と品質は、このようなものだったのではと思います。

2024年8月25日日曜日

DOMKE F-2 (80年代製)

80年代のドンケF-2です。


生地特有の日焼けによる褪色はあるものの、ノンダメージで良好なコンディションの個体です。
ストラップの滑り止めゴムは硬化しておらずまだ柔軟性を残しているため、今回は除去せずにそのままとしてあります。


 80年代までのこのタイプは、畳のような青みを帯びていて日に焼けると茶色くなっていく生地が特徴です。ロゴは®️マーク無し。後ろポケットのスナップボタンもこの頃はまだ廃止されていません。

限定モデルや他ブランドとのコラボレーションで、今やすっかりお洒落アイテムと化してしまったドンケですが、ここではあえて機材運搬袋だった昔日の武骨なドンケをおすすめします。


 当時のオリジナルの底板付属。田形の内仕切りと手提げ用の小ストラップは付属しません。

古いバッグですが、入荷後に純石鹸で洗いを掛けてありますので清潔です。


・DOMKE F-2(80年代製)・・・・・売約済み

2024年8月24日土曜日

不思議な旧エルマー

変わった旧エルマーが入荷しました。

整備中

このエルマーは、クローム時代になってからライツで交換式に改装されたもので、レンズバレルの特徴から3,000番台(1926〜27年)かそれ以前のかなり古い時期のものと思われます。思われる、というのは、このエルマーのバレルには通常記されている製造番号が何処にも見当たらないからです。

通常、旧エルマーのバレル部には製造番号に加えて数ヶ所に管理番号が彫られています(旧エルマーの後期には管理番号のうち2つは機械刻印に代わります)。ところが、この個体には管理番号以外はなにも彫られていません。

また、このエルマーは実焦点距離の最も短い3番鏡筒であるにも関わらず、より焦点距離の長い1番鏡筒よりも全長が長く、一見するとまるで普通のクロームエルマーのように見えます(ただし、4・5番鏡筒や、長鏡筒の6・7番よりは短い。0番鏡筒の個体は現在在庫品の無いため比較できず)。

左:1番鏡筒、右:今回の入荷品

鏡筒が長い理由は、バレルが通常より前進した位置にあるからで、そのため、鏡筒にバレルを収めた状態では位置決めネジは終端部に半周分しか掛かりません。
バレルが定位置にある状態でネジ孔が半分見える

こうした構造上、この個体ではバレルを緊締するリングに位置決めネジの条の残り半周分が切られています。

クローム仕上げの0、1、3番の鏡筒は、後年の改装時にライツで新造されたものです。その3番鏡筒がわざわざ全長の長い仕立てで造られているというのは、このエルマーが実焦点距離48.6mmでありながら、通常よりも長いバックフォーカスを持っている事を意味します。

このような変わった仕立てながら、この個体は至近から無限までピントが出ており、距離計連動も3番鏡筒の繰り出し量と合致しています。バレルと鏡筒の整合性にも不審点は見当たらない訳ですが、では何故こうした仕様なのかというと、現時点ではまったく判りません。

3群部(中央)の枠に反射防止用の同心円状の段差が切られていない。こうした仕様の個体を見るのも初めて

左:戦後に改装された旧エルマー(1番鏡筒)、右:今回入荷した旧エルマー


これまで新旧ともに様々な来し方のエルマーを見てきましたが、見るほどに撮るほどに底深いレンズだと感じます。

2024年7月20日土曜日

Leitz Summitar


1950年製、円形絞り

整備済み。
光学系に経年による軽微な傷あり、コーティングに焼け等経年による劣化あり。

作例(いずれも開放にて)*オートホワイトバランス設定だったため色味に揺れあり


・ライツ ズミタール・・・・・48,000円(税込み)

2024年6月23日日曜日

Leitz FISON 象嵌タイプ最初期型

古い象嵌入りのFISONです。

Leitz Wetzlarは象嵌で陽刻

Germanyは陰刻


初期の無刻印タイプと同じ、取り付け部の幅が狭く、取り付け部から先端までが長くくびれの無い寸胴型。象嵌入りの中でも最初期の非常に稀少な個体です。

全体に小傷や擦れはあるものの象嵌線の剥落や歪みの無い、年代に照らして良好なコンディションを保っています。


・ライツ FISON 象嵌タイプ最初期型・・・・・55,000円(税込み)

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