2023年2月17日金曜日

Doppelanastigmat Citonar 12cm/f6.3

きわめて珍しいLマウント仕様のドッペルアナスチグマートです。 

本品は、1920年代初頭のコンテッサ・ネッテル製のダブルアナスチグマートレンズ、シトナーをLマウントの鏡筒に組み付け、ライカの距離計と連動するようにしたものです。
鏡筒部は昨今の改造レンズとは異なり他製品からの流用ではなく、連動カムからワンオフで製作されています。戦前の欧州では注文を受けてレンズに合った鏡筒を製作する業者がたくさん存在していたそうで、このレンズもそうしたもののひとつでしょう。

傾斜カムで直進連動カムを動かすライツの望遠レンズと同じ構造の距離計連動機構


絞り値は黒いドットの横にケガキ文字で手彫り。この辺りは小工房での手作り感が。
画像右からf6.3、9、12(12.5)、18、25の大陸系列

塗装はラッカーではなくカシュー仕上げ。現在は経年で表面が荒れていますが、ピントリングで覆われていた部分を見ると、元は滑らかな黒塗り鏡筒だった事が分かります。

光学系は4群6枚の対称型で、ダブルアナスチグマートレンズとしては最も知られているダゴールとは異なる構成です。製造から1世紀あまりを経たレンズながら年代に照らして明澄で良好なコンディションを保っています。


使用例

古典レンズを往時のライカで、あるいは現代のデジタルカメラで。

整備済み。

*使用上の注意事項*
距離計連動カムの両端部の形状が角形に近いため、本品をライカなどのレンジファインダーカメラに取り付ける際には、一度ピントリングを最短まで繰り出してからゆっくり取り付けてください。

・ドッペルアナスチグマート・シトナー12cm/f6.3・・・・・45,000円(税込み)

旧エルマー備忘

 Lマウント仕様に純正改装された旧エルマー(1926〜28年にかけて製造された、ゼントリンガー工場のガラスを採用していたごく初期のエルマー)で、これまで当店で扱って来たもので記録してきた範疇においては、1本の例外を除くその他すべての個体に共通の番手のナンバーが刻字されていた。 こ...